2006年01月12日 02:54

2006年01月12日(木)

夕刻、「広島ホー○テレビの○○といいますが」という電話がありました。
いつもテレビ局と新聞社からの電話で思うんだけど、他の業種の方は必ず「お忙しいとこすみません」とか「今お時間よろしいですか」と名乗った後に一言付けるのだが、こいつらはまず「絶対」ないよね、今まで一度も。
んでもちろん今回も例に漏れずそうだったので、いきなりカチンときたんだけど(大体どんなおいしい話や社会的に地位が高い方からの電話でも、忙しい時はそう言うし取り込み中だとはっきり言って改めてもらうんですね、わたくし正直なものですから。ていうかホントに手が離せない時はホントに離せないんだから仕方ない商売しとるわけですよ。5秒あれば充分絵の具は乾くし腐食は進むし障害児は駆け回るし主婦は目を離すと暴走しとるし若いねーちゃんはお菓子を食い尽くすんですよ。)、それ以降の話ももう目が点になりそうなほどびっくりしたので、まー今日の日記のネタにしようかなと思ったわけです。
その内容というのが、いきなり「そちらが今ナショナルのショールームでやってらっしゃる展覧会を取材させてもらったんですけど、一つ画材がよくわからないものがあったので、それを放映の時に説明をどのようにするか、ちょっと教えていただきたいんですけど」でした。

・・・・・絞めるよ? この1文の中だけで、突っ込みポイントがもうすでに5点ぐらいあったので、「ちょちょちょちょっと待った!作品に関する事だったら明確な質問をしていただきたいので、メールかファックスか、具体的に『文書に』していただけますか(そのほうが時間や内容の証明が残るので)? ちょっと聞いたとこでは即答できそうな内容ではないし(だから忙しいっちゅうねん、聞かれてないけど)、こちらも改めて後ほどゆっくり回答させていただきたいので、アートカプセルで検索したらそこから直接メール出せるようになってるんでそれでお願いできます?」と、クラクラしながら電話を切りました。

まあ、落ち着け落ち着け・・・。 冷静に突っ込みポイントを整理して、きちんと言うべきことを言おう・・・と考え直してみました。

1)まず、会社の名前言うだけで自分を説明したと思うな。悪いけどワシはテレビ見んねん。なんという番組でどういう内容を扱っていてアナタがそれをどうできる立場の人間なのかまず説明せいよ。アナタは「アートカプセル」とか「オノさん」と言って情報持ってるっぽい喋り方をしていたけれど、誰の紹介でどうやってココと私とその展覧会を知ってそうなったのか、それぐらいの情報くれないと、こっちも気持ち悪いだろうが〜。

2)あと、「取材したんですけど」ってなんだ?!わしゃ取材受けた記憶はないぜ???しかも「させて下さい」じゃなくて「したんですけど」ってなんだ?!取材許可した記憶もないぜ???ワシ、記憶喪失?あれ??うち、なんか順番間違ってる???

3)「一つ画材がわからないものがあって」もひっかかりまくり!お前絶対他の画材もよくわかってないって(笑)!中に2点リトグラフ入ってたの気付いてた?油絵とアクリルの区別付いてた?油性木版やリノカットのグラデーションの刷り方知ってんの?プロに説明求める時の聞き方ぐらい気を使えよー。知ったげな口聞くと余計教えてもらえんくなるぜー(少なくとも私や私の周りの作家からは…)。

4)「放映する時」って、放映するってコトは、作品の撮影をしたってコトだよね?!?!てめーら誰に断って勝手に撮影してんの?しかも何点撮ったの?で、そのフイルムを今どう管理してんの?放送後はどう管理すんの? それぞれの作品にそれぞれ著作権を持つ作者がそれぞれいて、それにともなって必然的に版権が生じることわかってんの?作家はみんなのために描いてんじゃないんだよ?自分のために描いてんだよ?公開してある=みんなのもの〜!じゃねえよ、使いたかったら許可得てくれよ、もしくは買ってくれよー。買ってくれよー。買ってくれよー。 
大体そのへんの権利がないがしろにされまくっててワシら作家が損しまくってんじゃんねえ。自分の知らないところにフィルムとはいえ自分の作品のコピーが存在してる事ほど恐い事はないぜ。しかもテレビだよテレビ。誰がどこでどれだけ見てるかわかんないとこに対して垂れ流されるんだよ、その恐ろしさをテレビ自身が知らなくてどうすんの?たまたまそれ見てインスピレーション受けた奴とかにアイディア盗まれたりしたらどうすんの?どう責任取ってくれんの?そういうリスク背負って必死で「自分のオリジナル」の道を模索してる作家たちに対して認識が甘すぎるよー。軽んじすぎ。ワシらホントに正当な扱い受けてないよね。作品をなんだと思ってんだろうなぁ。

5)でまあ話してたらその方が言いたかった作品というのは多分あの人が作ったアレだろう、というのはなんとなく想像ついたんですが、一応わかんないフリして「もーちょっと映像見直してきちんと説明してもらえますか」と言うといたんですが、その作品に限って、ちょっとした「企業秘密」が使ってあるやつだったので、これまた「なんでお前らが勝手に選んだ作品がよりによってそれなんじゃろか」とムカムカしてきました。コレがイチオシですよ!ってのはこっちに選ばせてくれよー。 というのが、その技法に限って色々流儀や流派みたいなんがあって、それをテレビでどアップで公開する事により、もしかしたらまぁ色々問題が出ちゃうかもしれない(っつーか技法を盗まれたくない)いわく付のブツだったのですよ。 しかもまぁそれをどの角度から何秒、どれぐらいの大きさで写すんか、その辺の説明も欲しかったのですが、それには全く触れられず・・・一体どうしたいんだ?うちらの展覧会をめちゃくちゃにしたいんか?てか、この展覧会の目的もうちらがどういう集まりなのかも何も聞かず、一体何を取材したんだ???

そりゃあ宣伝してもらえるのは嬉しいことです。 毎月広告費もバカにならんし、今回のDMも出品者に比べて数が少ないからバラまくの節約しとるし、せっかくの2週間という長期の機会が与えられたのでめいっぱい活用したいし、なにしろ今回は会場の1階部分が改装中のため、外から見てやってるかどうかがわかんなくて告知に苦労しとるとこじゃし、テレビで宣伝がしてもらえるというのは願ってもない事です。 しかし、だからといって、著作権や内容、目的がおいてけぼりにされるのは許される事ではありません。これは全くの別問題です。はっきり言っておきますが、ワシはボランティアや奉仕や慈善で絵を描いているわけではありません。しかも、テレビの前でコタツに入ってミカンむぎながらボヤーっとしている誰ともない人たちに向けて漠然と描いて見せるだけが仕事なのではありません。今回は不当な扱いを受けて非常に気分を害しました。生徒さんたちの作品を守りきれなかった事も非常に後悔しています。あー情けなや情けなや、です。

で、まあ「苦言ご理解下さい」と一応それっぽいことをメールの返事に書いたんですが、結局その後返ってきた答えも予想通り「申し訳ありませんでした。不都合な点がございましたら次の機会にさせてください」。 ・・・あのさ、不都合な点、と言われましても、どう放送されるのかもなーんにも情報がない状態で、何がどう私らの不都合になるか、わかるわけないじゃん。。。。。クルクルパー?!自分の中で話が完結しちゃってんのね、この人。例えば「じゃあまあいいですよ、宣伝にもなるし」って答えた後テレビ見てみたら夜中のエロ番組でおもしろおかしく取り扱われてた、という結果もありえないことはないじゃない(まぁそれはそれで面白いけど)?だからもーちょっと情報くれんかな、テレビって言えばなんでもいいと思ってんのかな。それがテレビのやり方かね、恐ろしいなあ。 あと「次の機会」ってなんだろう。7月のカプセル展でも取材してくれんのかな。いや、でもそれもきっとアポなしで私らのおらん時に勝手に撮影して勝手に編集して勝手にいつの間にか流すんだろうね。今回も「よく技法がわからない作品がひとつあった」からたまたま連絡がもらえただけで、全部をあっちが勝手に理解したと思い込んでたらそのままいつの間にか流されてたんだろうね。おっそろしー。

人々の苦労して作ったものを写す時、そしてそれを報道する時、それについてまわる責任の重大さを、テレビサイドの人たちには考え直していただきたいですね。まー要するに「つけあがんな」「勘違いすんな」「馬鹿にすんな」というのが本音です。
当たり前の権利を当たり前に持ちたいなー。そしてその権利を正当に使ったり使われたり評価されたりして「まっとうに生きたい」なー。ま、それだけですわ。ちゃんちゃん。


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