2002年04月

2002年04月01日 01:01

「室内」 8F 2002 アクリル

0204

えー、今回は、ポリシーのない私の得意分野「コミッション画」をお披露目したいと思います。要するに「こんな絵をこれぐらいの値段で描いてくれ」と頼ま れてから制作する、というヤツですね。ハイ、なんでも来いや〜、でございます。

*****

制作過程をお話する前に、何がどーなってこういう話になったか、を説明致します。先週の金曜日あたりに突然知らない方から「そちらって絵画教室さんですよ ねぇ・・・おりいって相談があるんですけど・・・」とお電話アリ。まぁとりあえず教室の方へ来ていただく事になり、いかにも水商売風のオネーサマがお二人 いらっしゃいました。お話を伺うと「来月にお店を独立して開く事になって、今内装をしているんだけど、何か壁に絵をかけたいと思いまして、色々画廊を回っ たけど気に入った絵と欲しいサイズが合わない、とか、画廊の人から客扱いしてもらえない、とか、有名な人の絵を買うほど予算がない、とか、問題がどんどん 出てきて困ってるんです・・・」との事。うんうん、どれもありがちな話です。そうでしょうなあ、そうでしょうなあ、なんて言いながらお話聞いておりまし た。で、結局「どうしたらいいでしょうか?」と聞かれたので、速攻で「あなた私に相談を持ちかけて大正解でしたねぇ。ご希望通りの絵、描いてみせま ひょ!」と答え(インチキ占い師みたいだねえ)、早速どんな絵をショモーしておられるのか、そのまま話し合いにもつれ込んだわけでありました。

で、先方のおっしゃるには(1)ちょっと印象派風の淡い色合いで(2)緑や灰色を基調に(3)ワンポイントで暖色がうるさく ない程度に入り(4)室内の風景で(5)なるべく形をはっきりさせずに半抽象風のタッチで(6)8号ぐらいの油絵で(7)シンプルな焦げ茶の木の額とナ チュラルホワイトの壁が合うような(8)洋風の(9)よく見たら黒猫がいる(10)予算内で(11)3日後のオープンに間に合う・・・絵が欲しい、との 事。そりゃ〜これだけ具体的にイメージ膨らませてたら、広島市内のギャラリーじゃすぐは見付かんなかったハズですわい。で、印象派の本を見てもらいながら 「こんな感じの絵が好き」ってのをいくつもいくつもインスピレーションだけでピックアップしてもらって、この方の趣向を探らせてもらいました。するとどう やら(12)ワンポイント・パースペクティブの大胆な構図が潜在的に好きらしい(13)若干薄塗りでボヤボヤした中にキアロスクーロ風の明暗が入ってるの が好きらしい・・・などがわかってきたので、「了解しました」という事で、前金でお金もらって(もらわないと描く気が起きないワタシ!)商談成立。しかし 油絵を3日後に間に合わせるというのはぜっっっっっっったい無理、という事と、予算との兼ね合いで、油絵はあきらめてもらい、アクリル画、それもキャンバ スボード(キャンバス風の厚紙)で勘弁してもらう運びとなりました。で、制作開始。

0204ex1-1

1)まずは上記の条件を満たすような下絵のサムネールをいろいろ描くところから。ソファがあってドアから光が入る、という構図を思い付いた。この時点でネ コはソファに寝そべった感じをイメージしている。

0204ex2

2)そしてフォトショで色とタッチのイメージを作る(かなりテキトー)。この時になってソファに黒ネコを座らせると明暗のコントラストがきつすぎてさりげ ない感じがなくなりそうな気がしたので最初の案を却下。

3)この2枚の下絵を見ながら実際の制作に取りかかる。抽象風がヨイ、との事だったのであえて何も具体的な資料は見ずに「面」の事だけ意識しながら描い た。んで出来上がったのが一番上のヤツ。油絵に見せかけなくてはいけないので、最後につや出しのメディウムを塗る。で、約束していた3日後の月曜のお昼に 依頼主さんが引き取りに来られる。めっちゃ気に入ってもらえたみたい。きゃーきゃー言いながら「今からこのまま額屋さん行ってきま〜す!」と小躍りしてお られた。喜。・・・ちなみに描いてる途中は生徒さんたちから「どんなのでも描けるっていいですね〜!」やら「センセーらしくな〜い!」やら「値段に合わせ た絵を描くってヒドイ!」とか、賛否両論巻き起こっておりました事ココに報告させていただきますね(笑)。 

         

02年4月のタワゴト
 
また久しぶりに昔話なんか書いてみたいと思います。というのも、教室の展覧会に中学時代の美術の教師が偶然ふらりと現れたという話を聞いて、なんか思い出さんでえー事まで思い出しちゃったりなんかしちゃったので、そのへんを書いてみようかと(笑)。
中学一年生の時、今思えば結構運命的な美術の先生に当たりました。通称Tじい。何故かノリと体格は動物&体育会系の、結構えぇ年のおっさん。私が入学する前年に担任してたクラスの子(しかも受験生)に暴力振るって重傷負わせたか何かで、もう担任ができなくなってたような、まぁ公立の中学校に結構いがちないわゆるどーしよーもないオヤジですな。そのTじいがどーしてだかやたらと私の事を気に入っておりまして、「オノがタバコを吸おうがスカート長かろうが授業さぼろうが陰湿なイジメしてようが何しようがこの子はスゴイ絵を描くから許す!」という滅茶苦茶な理論で私をことあるごとに擁護してくれてました。どんなにテストで手を抜いた絵を描いても「オノだから」という理由で満点に近い点数をくれました。
こんだけおおっぴらに差別がまかり通ってたってのも今では笑えますが、私はその時「『人を認める』ってのはこーゆー事なんだねえ」としみじみ思ったわけです(…他人事みたいやなぁ)。「何があってもこの子は絵が上手なんだからいいじゃないか!」って言ってしまえるのって(ある意味)スゴイ。私はここまで人を信じた事があるだろうか?!と感動したわけです(その割にはTじいの信頼を裏切り続けた中学生活でしたが。感動こそすれ、感謝はこれっぽっちもしてませんでしたからねぇ。ありがためーわくなんだよなぁ、とか思ってましたからね、当時は)。
で、そんな私もいつの間にか3年生となり、美術の担当がTじいからOポン(これまた通称です。この年頃は先生にアダ名をつけずにはいられないのです)という若い女の先生に変わりました。さすがにOポンは「オノだから」という理由で全てを許してくれるわけはなく(当たり前だっちゅ〜の)、当然美術の成績はガクッと落ちるわけですね。「Tじいだったらこの絵、80点はくれるぜ〜」とか思っても、いつもその半分ぐらいの点数。悔しくて気合い入れた絵を描いても大して評価は変わりません。何をしても結局一度もOポンから「オノの絵はイイねえ」なんて言葉を聞くことはできませんでした。
そこで私、ひらめいてしまっちゃったんですね。Oポンにはあらかじめ「オノはやんちゃな子」というイメージが植え付けられており、絵そのものを見る前に「こんな悪い子がいい絵を描くわけがない」という心のフィルターを通してしまう…という逆説が成立ちゃしねぇか?!という事を!!んでもって色々考えあぐねて最終的には「絵に絶対評価っつ〜のはナイのね。絵の価値なんてのは言い値に買い値なんだね。同じ絵を描いても結局は見る人の好き嫌い『だけ』なのね」と悟ってしまった15の春でした。そういう事に気付かせてもらったという点では、感謝しなきゃいけないのはOポンの方だったりして(笑)。
ちなみに展覧会を見に来てくれたのは後者Oポンの方でした。絵で食ってます、ってTじいに報告したいなぁと常々思ってはいるのですが(きっとめっちゃ喜んでくれるに違いない)、やっぱOポンは展覧会の主謀者が私だと知って、受付の人には「オノ?あんまり覚えてないなぁ」とおっしゃられたそうでございます。だろうねえ、あんたには私を見極める心の余裕がなかった。


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